Vol. 13

牛の角切り

北海道の撮影を始めてから、約半年が経ち、晩秋を迎えました。 冬の北海道と聞いて僕が持つイメージは、雪に閉ざされた印象。極寒の最果ての地。そうした冬の厳しさに向かう北海道に会いにまたやってきました。

小笠原牧場。 少し気温もピンっと張りつめているこの日、牧場では冬に向かう準備が行われていました。 牛の角切り。 牛の角を切って、傷口を焼いて塞ぐというもので、僕らひ弱な都会っ子にとっては少々残酷なイメージ。もちろん僕も少しの抵抗感を持って訪れたわけです。 そんな僕たちに「牛は群れで暮らすので、牛舎で牛同士も危ないし、もちろん世話をする我々人間にも危ない」と教えてくれたのは小笠原さん。 僕は自分の浅い考えが恥ずかしくも思いました。牛は冬の寒い間は牛舎で過ごします。もちろん一頭二頭という数ではなく、それこそすし詰め状態で。その時牛同士が傷つけ合うことも少なくないはずです。牛の角切り、残酷に聞こえるその言葉の響きの中には、牛のための優しさもあったわけです。 とは言え、やはり牛の泣き声を聞くと少し心が痛む、でもそれは仔牛の頃から見つめてきている小笠原さんもきっと同じ。そう思えてきました。

そして午後には、牛肥を牧草地に蒔いて回ります。これから深い雪の下に埋もれてしまう牧草に栄養を与え、また来年元気に生えてもらえるように。 作業にはすべて意味があります。それは自然や動物たちと共存するための意味。北海道の大自然と共に暮らす人々にはそれが否応無しに求められているのでしょう。 そして、北海道は本格的な冬を迎えていくのです。