撮影ノート

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Vol.28 幻の大根、収穫のとき

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長野県下條村。 8月の終わり、山に囲まれた豊かな大地に恵みの雨が降り、大根の種をまきました。 綿密に組まれたスケジュール通り、55日~60日後、再び撮影隊はやってきました。 収穫のときです。ちなみに撮影隊はカメラマンとディレクターの2人。 一見スチールカメラのような小さい機材ですが、もともとは映画用に開発された優れもの。某局の連続ドラマでも非常にもてはやされているカメラで日本の農業を1年間追いかけます。じっくり腰を落ち着かせて1つのテーマで1年間カメラで追い続ける機会は早々ありません。必ずや素晴らしい映像詩になることでしょう。

「伝統野菜」という言葉の重みがあります。生産農家の方いわく、「ちょっとした気候の変化に左右されて、この大根を作るのは本当に難しい。相当の覚悟がないと迂闊には手を出してはいけない野菜。失敗の繰り返し。でも、だからこそ、良い物が作れた時の喜びは大きいから、やりがいがあるんだ」
土、水、天候・・・。あらゆる条件がそろった時、下條村の中でも「親田」と呼ばれる一部の地区でしか栽培できない「親田辛味大根」が完成します。一瞬の甘味と、後に続く品のある辛味は、“あまからぴん”と呼ばれる独特のもの。まさに大人の味。

獲れたての大根を洗ってすりおろすご主人に、何度も確かめました。
お返事はいつも一緒です。
「基本的には“お蕎麦の薬味”以外にこの大根は使うべきではない」と。
そして、この“お蕎麦の薬味専用”大根の収穫を、全国の食事処が今か今かと待ちわびています。
「ありがたいことに、はっきり言って生産が追いついていない」
日本の食と、それを支える農業の奥深さは、世界に誇れる文化です。
山あいの小さな畑でも、それをしっかりと感じ取ることができます。
(S.K)

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