Vol.1 空と海の間に築く未来への遺産 ~石川県編~

分割再生&解説ハンドブック Part 7 田の神 山の神 年の神

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ユネスコ無形文化遺産にも指定されている、「田の神」への感謝を表す伝統行事「あえのこと」~エピローグまでを紹介しています。

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解説ハンドブック

映像でご紹介している「あえのこと」は、日本を代表する農業信仰に基づいた伝統行事。日本では古来より、民間信仰としてこうした農の神を敬う習慣がありました。それが「田の神」「山の神」「年の神」です。これらは三神は地域によって相違も見られますが、基本的には同一神といわれています。

元々はご先祖様が近くの山に登られて神となった「祖霊神」が原点とされています。この神が田植えの時期に田んぼに降りてきて「田の神」となり(「サオリ」といいます)刈り取りの時期まで田を守ります。そして稲刈りが終わると、再び山に登ってお帰りになり(「サノボリ」といいます)、「山の神」になります。年が改まる大晦日、今度は「年の神」となって人々のところにお戻りなり、そしてまた再び山にお帰りなる――というサイクルを繰り返しているというものです。

能登の「あえのこと」では、これが家と田の往復として表現されていますが、基本的には同じ形式。このほか、南九州では「タノカンサア」、淡路島では「ヤマドッサン」など、各地に似たような伝統行事や民間信仰が残っています。

ところで、こうした行事は決して農家だけに残る特別な風習ではありません。

じつは現在のわたしたちの生活の中にも、しっかりと残っているのです。その一つがお正月。これはまさしく、「年の神」をお迎えする行事に他なりません。門松は山にある木々で山から降りられてくる山の神を迎える印ですし、稲で作ったしめ縄で「田の神」でもある神の居場所を示します。そしてその年にとれたお米でつくった餅をそなえて、「田の神」にその年の収穫を感謝することを表しているのです。「あえのこと」のように神様に言葉こそかけませんが、わたしたちは同じように「神」を家の中にお迎えしていたのです。

さらにお花見という行事は、「山の神」が田んぼにおりていらっしゃる時に、サクラの根元で一度休まれていかれる神をもてなしていたことがルーツ――ともいわれています。サクラの語源もここにある、という説もあります。「サ」は「サオリ」「サノボリ」の「サ」とおなじく「神」を表す言葉。そして「クラ」は座るところの座(くら)を意味する言葉で、「神が座る木」。それが「サクラ」の意味だというのです。

このように田の神、山の神、年の神は、じつは今もわたしたちの身近に存在する神様でもあるのです。

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収録時間 7分44秒
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