鹿児島県
01.日置市の御田植祭「せっぺとべ」
Vol.18
Ep.01
薩摩隼人たちが泥の中で大暴れする「せっぺとベ」は、日置八幡神社で行われる「御田植祭」の一種。そもそも御田植祭とは、春に豊作の願いを込めてその年の米作りを予行演習のように再現する「田遊び」が起源とされます。
日置八幡神社の御田植祭は「せっぺとべ」を含む複数の祭事の組み合わせで構成されていますが、薩摩隼人たちが田で跳ね踊る「せっぺとベ」がなぜ始まったのか、何を意味しているのか、その由来はよくわかっていません。もっとも有力なのは「踏み耕(足耕)」説で、文字通り足で田を耕すこと。馬や牛を使う以前は、人々が田植え前の田を足で起していたことを表している、という説です。
また、日置市には大田太鼓踊りや徳重大バラ太鼓(とくしげうばらでこ)踊りといった「虫送り」のための行事も数多くあることから、「せっぺとべ」も旧暦9月に行われていた虫送り行事が春の祭りと一体化し、泥の中で跳ね踊る形になったとも考えられます。
なお、「せっぺとべ」とは「精一杯、跳べ」からきているとか。