鹿児島県
03.桜島大根の種まき、指宿のそら豆の植え付け
Vol.18
Ep.03
世界最大ともいわれる桜島大根は謎多き作物。その由来でよく引用されるのが1709年に貝原益軒(かいばらえきけん)が編纂した『大和本草』で、「薩摩大根は常のより大なり」という記録があります。
しかしこれはあくまでも「薩摩大根」で、現在の桜島大根ではなさそうです。1802年に薩摩藩第8代藩主・島津重豪(しまづしげひで)の命で編纂が始まった『成形図説』には桜島大根が細長い普通の大根として描かれています。
現在の丸くて巨大な桜島大根が記録に表れるのは1843年、第10代藩主・島津斉興(なりおき)の命でまとめられた『三国名勝図会』です。その中にはこんな記述が。「その大なるものは径り1尺なるあり、世に桜島大根と称してこれを賞玩す。天下に大きな大根多しといえども、いまだ島産に及ぶものあるをきかず」。1尺は約30㎝ですからこの記載が正しければ、桜島大根は1800~1840年頃の間に、普通の細長い大根の形状が何らかの原因で変異し、現代まで続いていると考えられます。