新潟県

02.越後一宮彌彦神社の初穂講と米どころの始まり

稲作と関係の深い「越後一宮 彌彦神社」 

Vol.30

Ep.02

「伊夜比古おのれ神さび 青雲のたなびく日すら 小雨そぼ降る」「伊夜比古 神の麓に今日らもか 鹿の伏すらむ皮衣きて 角つきながら」――これは万葉集で詠まれている二首の歌。越後平野の中央、弥彦山の麓に鎮座する越後一宮彌彦神社を詠んだものです。この「伊夜比古」に彌彦の字があてられたことから、彌彦神社の正式な呼び方は「いやひこ」。ナレーションが「やひこ」でなく「いやひこ」と聞こえるのは、決して間違いではありません。

越後一宮彌彦神社の御祭神は天香山命(あめのかごやまのみこと)。神武天皇の命を受け、人々に海水から塩をつくる技術や稲作などを授けたとされます。「初穂講(はつほこう)」は、大正5(1916)年に再建された現在の社殿を記念し、将来にわたる社殿の保全と稲作を始めとする地域の農業振興を目的に創設されました。県内1万余りの農家が講員として加入しており、家内安全・五穀豊穣などを祈念して、毎年初穂米(その年に収穫されたお米)を献納しています。