富山県

04.砺波市の大門素麺。新湊漁港のホタルイカ

江戸時代から伝わる大門素麺

Vol.29

Ep.04

細く長い麺がくるくると巻かれた丸まげ状の大門素麺。砺波市大門地区では10月から3月にかけて、凍える寒さのなか大門素麺づくりが行われています。

製法が伝わったのは江戸後期。村人の一人が能登・蛸島(たこじま)で加賀藩の御用素麺を作る生産者から習ったのが、大門素麺の始まりといわれます。最盛期の昭和初期には60戸以上の農家で作られていた大門素麺ですが、今は10戸余りの生産者が昔ながらの味と形を守り続けています。

一方、ブリ、シロエビ、ホタルイカ、イワシ、サクラマスなど豊富な魚介類が獲れることから「天然のいけす」とも呼ばれる富山湾は、「ホタルイカの身投げ」でも有名です。深海に生息するホタルイカは産卵期に沿岸域に近づきます。しかし深海が海岸に迫っている富山湾では、波打ち際に集まったホタルイカが浜に打ち上げられてしまうことも度々で、これが身投げのように見えるとか。産卵で丸々と太ったメスを定置網で獲る富山湾のホタルイカが、とりわけおいしいといわれるゆえんでもあります。