Vol. 19

牛の出産

この日、こんな連絡が入りました。 「うん、産気づいてるから、今日の夜あたりじゃないかな?」酪農家・小笠原さんからの電話。 そう、牛の出産が近いという連絡です。もちろん僕らにとって牛の出産は初の体験です。期待と不安を抱えながらクルマを走らせ、一路小笠原牧場へ。 広大な牧草地に夕日が沈み、あたりが夕闇に包まれてきた午後7時。小笠原牧場の牛舎の片隅に一頭の母親牛の姿が。 「う〜ん、一時間後か、二時間後か?そこは牛次第だね」と笑顔で話す小笠原さん。「我々が見てます」と僕らは牛舎の中でじっと待つことに。

そして、その時は突然訪れました。 急に牛が破水したのです。「小笠原さん呼べ! 早く!」こちらが動揺して大きな声を張り上げる中、冷静な小笠原さんファミリーが牛舎へと戻ってきました。 「もう足が出てきてる!」スタッフが歓喜の叫びをあげる中、小笠原さんは鎖を子供の足を括り付け、「せーの!」の掛け声で、家族全員でひっぱり始めました。

「えっそんな荒々しく?」と声を掛けようとしたのも束の間、小さな仔牛がスルッと姿を表した〜「やった〜!」と思わず叫ぶスタッフ。母牛が仔牛を舐めています。やはり小笠原さんにとっては慣れた日常の風景だから感動もないのかなと思い彼を見ると、そこには仔牛と母牛を見つめる小笠原さんの優しい笑顔がありました。生命の誕生は人を優しくします。 「この北の大地でこれから元気に暮らすんだよ〜」思わず声を掛ける僕たちでした。(K.N)