香川県

04.歌舞伎の島・小豆島。春の肥土山農村歌舞伎、子ども歌舞伎

仮名手本忠臣蔵「松の間」

Vol.04

Ep.04

「地芝居」とも呼ばれる農村歌舞伎は、その土地の人々だけで演じられてきた民俗芸能。小豆島では、はるか江戸時代に、かつてお伊勢参りに出かけた島民が上方歌舞伎の場面を描いた絵馬や衣裳を持ち帰り、旅回りの一座や振付師を招いて演じるようになったのが始まりとされます。最盛期の明治・大正期には、島全体で歌舞伎舞台が30以上、役者は約600人もいました。

しかし、継承者の減少、舞台の老朽化や焼失などにより、現在も継承されているのは中山農村歌舞伎と肥土山(ひとやま)農村歌舞伎の2つのみ。肥土山農村歌舞伎は離宮八幡神社の舞台で行われ、人々は青天井の芝生にござを敷き、わりご弁当を食べながら見物します。演じ手はすべて肥土山地区の住民。子どもたちも春休み返上で稽古に励み、子ども歌舞伎を披露します。

肥土山農村歌舞伎は、少子高齢化で継承が危ぶまれるなか、安定的に後継者を育成していることが評価され、2007年に「第7回むらの伝統文化顕彰」で農林水産大臣賞を受賞しました。