新潟県
03.新品種「新之助」、生産者の思いと産地の取り組み
Vol.30
Ep.03
新潟県農業総合研究所で2008年から始まった米の新品種開発。通常10~15年かかるところ、期間短縮のため石垣島で1年2作、研究所内の温室で1年3作の世代促進栽培が行われました。500種の交配でできた20万株からスタートした研究で、最も重視されたのが食味です。交配後2~3年の初期段階から、食味の良さに大きく関わる輝きの良い株を選別。1株からとれる30gほどの米の輝きを数値化し判別しました。
一方で夏の酷暑に負けない品種にするため、ガラス温室で摂氏27度の高温ストレスを与えるなどし、温暖化に強い候補を選出。かくして最終的に選ばれたのが、「コシヒカリと方向性の異なるおいしさ」をもつ103号、現在の「新之助」です。新之助は100年以上の歴史がある同研究所が培ってきた開発技術を結集した、「新潟米の集大成」ともいえる新品種。新之助の大きな特長は甘味とコク、適度な硬さと粘り、しっかりとした粒感。長期貯蔵でも品質が低下しにくいなど、コシヒカリと双璧をなす期待の新品種です。