滋賀県

05.秋の風物詩、伝統野菜の日野菜

日野菜漬け

Vol.27

Ep.05

伝統野菜を数多くもつ滋賀県の中で、最も有名なものといえばやはり日野菜(ひのな)。ほっそりとした姿、赤紫と白の美しいコントラストをしており、甘酢漬けは淡いピンク色のため「桜漬け」とも呼ばれます。

日野菜は県内各地で栽培されているカブの一種ですが、その名のとおり蒲生郡日野町(がもうぐんひのちょう)が発祥の地。約500年前の室町時代、時の領主だった蒲生貞秀(がもうさだひで)が日野町鎌掛(かいがけ)にある観音堂を詣でた際に発見したそうです。その後、蒲生氏の転封(てんぽう)に伴い伊勢や会津にも、さらには近江商人によって長野や新潟、四国などへも伝わりました。

それでもやはり日野町でとれる日野菜こそが、見目麗しく味もよいといわれます。その理由は、原種から栽培していること。加えて鎌掛地区は砂地で通水性がよく霧が多い気候のため、日野菜の生育により適しているそうです。貴重な原種は深山口日野菜原種組合によって大切に守られており、JAグリーン近江・日野東支店で集出荷する日野菜は、すべてこの原種から生育されています。