山形県

01.出羽三山と庄内平野、そして黒川能

黒川地区

Vol.16

Ep.01

出羽三山(でわさんざん)は、羽黒山、月山、湯殿山の総称です。明治時代までは神仏習合の権現を祀る修験道の山として、開山以来、羽黒派古修験道が継承されてきました。昔も今も人々の出羽三山に寄せる信仰は変わりません。

山形県の北西部に位置する庄内地方は、出羽三山を境に東は県内陸部と、南は朝日山地を境に新潟県と、そして北は鳥海山(ちょうかいさん)を境に秋田県と接し、西には日本海に面した広大な平野が広がります。山形県を縦断して日本海に注ぐ最上川、出羽山地を源とする赤川、鳥海山系を源とする日向川(にっこうがわ)、月光川など多くの河川が流れる肥沃な大地は、日本有数の穀倉地帯。

その一角、鶴岡市黒川地区(旧黒川村)で室町時代から500年以上にわたって受け継がれてきた伝統芸能が、黒川能(国指定重要無形民俗文化財)です。世阿弥(ぜあみ)が大成した猿楽の流れを汲みつつもいずれの能楽流派にも属さず、固有の伝承を守り続けてきました。