山形県

05.黒川能について②(興行、十七夜祭、豆腐焼きなど)、寒ダラ漁とどんがら汁

豆腐焼き

Vol.16

Ep.05

黒川能が奉納される王祇祭(おうぎさい)は、別名「豆腐祭」とも呼ばれるほど多くの豆腐が食されます。3日間にわたり片座だけで約7000個の豆腐が焼かれるという冬の鶴岡の風物詩。特製の大きな囲炉裏に薪をくべ、人々が帽子や布で顔や頭を覆い、段ボールで防護面を作るなどして熱を避けながら、長い竹竿で豆腐の焼き具合を指示し合います。豆腐の側にいる焼き手からは焼き具合が見えないため、向かい側にいる人が教えてあげる仕組みなのです。「こんなも!」「はいよ」「まっぐろになって」「あっりゃあ」と楽しげな笑い声が響きます。奉納した大豆を使って固めに仕上げられた特大の豆腐を18等分し、一つ一つに串をさし囲炉裏で焼き上げたらさらに2等分。その後、雪が降りしきる屋外に保管して凍み豆腐にします。

そして冬の庄内・日本海の名物料理としては、身も骨もぶつ切りにした真ダラを内臓ごと鍋に入れて煮込む「どんがら汁」も有名。あぶらわた(肝臓)のとろけるような甘さが絶品です。