山口県

02.見島伝統の大凧「鬼ようず」と住吉神社の夏祭り

家族を見守る「鬼ようず」 

Vol.17

Ep.02

見島(みしま)では古くから長男が誕生すると、すこやかな成長を祈願して、最初の正月に畳6~8枚ほどもある大きな凧を揚げる風習があります。凧が高く揚がれば揚がるほど出世するといわれており、その長男の将来の成功と家の繁栄を願うもの。それが「鬼ようず」です。その名のとおり大凧には「鬼」をモチーフにした絵柄が描かれています。

一般的に凧というと歌舞伎役者や桃太郎、金太郎といった人物を浮世絵や錦絵のように写実的に描いたものや、龍、鯉、鶴、亀といったおめでたい生き物の絵柄が主流。鬼を描く凧は少なく、全国でも長崎県のバラモン凧(五島)、鬼ようちょう(平戸)、鬼凧(おんだこ)(壱岐)、福岡県の小倉どうじん凧、福島県の会津唐人凧などに限られます。

見島の鬼ようずは新春の風物詩となっていますが、毎年10月の全国凧揚げ大会でも揚げられます。

そして島内の住吉神社では、毎年7月末の例祭で勇壮な和船競漕の「おしあい」が行われていました。「住吉神社例祭記録」には明治4年に行われた記録が残っています。