山梨県

02.山梨の桃、家族経営の果樹農家

赤く色づいた桃の実

Vol.14

Ep.02

日本一の生産量を誇る山梨の桃。古いところでは昭和初期、多くは戦後の1950年代から栽培が始まりました。

かつて日本は養蚕業の発展に伴い、中山間地はどこも蚕の餌となる桑の木が植えられました。それは山梨県も同様。しかし昭和恐慌によって生糸相場が大暴落、養蚕業は壊滅的な打撃を受けます。山梨で桑の代わりに植えられた作物が、桃でした。桃は土地の気候や風土によって品質が大きく左右される作物です。多湿な環境下だと病害虫が発生しやすいため、湿気の多い日本では失敗するケースも。

しかし山梨は、①内陸性の気候で日照時間が長く降水量が少ない、②山地で勾配があるため水はけがよい、③花崗岩や砂壌土など地質の保温性が高い、といった桃の栽培に適した風土の条件が揃っており、さらに首都圏の消費地まで陸送で1時間程度という地の利もありました。こうして山梨の桃は、60年代の高度成長に伴って果物の消費が爆発的に増加する中、急速に広まっていったのです。