広島県

03.初夏の訪れを告げるはやし田(花田植)と行事食

花田植の様子1

Vol.07

Ep.03

広島県北エリアに初夏の訪れを告げる農耕儀礼「はやし田(花田植・はなだうえ)」。田の神であるサンバイ様を田に迎え、集落全体が共同で行う田植え行事です。「安芸(あき)のはやし田」では笛や太鼓、手打ち鉦の演奏で歌われる田植え唄に合わせ、絣の衣装に身を包んだ早乙女たちが田植えを行います。これは元々、機械化が進む以前に備北地域や島根県などで広く行われていた、伝統的な田植えの方法。規模の大きい田んぼや神社の神田などで、その地域の人たちが総出で田植えをしていたことに由来します。

こうした行事は1日で終えなければならないため、農家の人々は田植え当日にやらなければならない工程を無事に終えられるよう、一つの流れを作り上げました。それが「はやし田」の原型であるとされます。

北広島町で行われるはやし田「壬生の花田植(みぶのはなだうえ)」は、西日本に残る花田植としては最大規模。国の重要無形民俗文化財、そしてユネスコ無形文化遺産保護条約にも掲載されています。