沖縄県

08.沖縄黒糖、受け継がれゆく命の源

JAおきなわ伊江製糖工場

Vol.38

Ep.8

サトウキビ収穫シーズンを前にJAおきなわ伊江製糖工場では火入れ式が行われ、ボイラーの前で祝詞の奏上や焼香、お祓いなどにより安全操業が祈願されます。12月になると工場の煙突から煙が出始め、島は活気を帯びてきます。この時期、島の人たちは製糖工場の煙突から立ち上る煙を見ると、家族総出でキビ刈りをした思い出が懐かしくよみがえるそうです。「沖縄黒糖」は沖縄県黒砂糖協同組合の地域団体商標。中でもJAおきなわの黒糖は、伊平屋、伊江、粟国、小浜、与那国の5つの島を中心に作られており、それぞれ土壌や地形の違いによって味が微妙に異なるとか。伊江島の黒糖は塩気とコクがあり、飲料によく合うと評判です。近年は人·環境にやさしい食物としても注目を集めている黒糖。そもそもサトウキビは光合成で炭素4個の化合物を生成するC4植物であり、地球温暖化防止に貢献する作物です。加えて製糖工場の燃料の約9割がサトウキビの搾りかすを利用した循環型エコ産業であるほか、産業が少ない離島の所得安定や耕作放棄地の抑制、働きがいの創出や住みやすい地域の維持といった機能も。CO排出抑制や環境負荷の低減、ゼロエミッションやカーボンニュートラルへの貢献など、未来志向の作物といえます。