滋賀県
03.針江生水の郷、カバタの仕組みと水文化
Vol.27
Ep.03
湖西に位置する針江集落の水文化、それがカバタ(川端)です。川の水や井戸水を家の中に引き込み、洗い物や飲み水などに利用する水場のこと。針江にある約170世帯の各家ごとに、地下18~24mから湧き水が自噴しています。カバタの水温は年間を通して12~13度と、夏は冷たく冬は温か。碁盤の目のように張り巡らされた水路が家々をつなぎ、コイが自由に泳ぎながら行き来します。
各戸のカバタは、湧き水を取水する元池、水をくみ上げる壺池、あふれ出た水を溜めておく端池(はたいけ)の3つからなります。壺池は飲み水や洗面器などに取って洗顔・歯磨きなどに、端池は野菜や食器などを洗う場所として利用され、野菜の洗いかすや食器についたご飯粒などはコイが餌として食べるため、水はいつも濁りなく透き通っています。泥のついたものはタライで下洗いをし、すすぎだけカバタで。集落にはそんな暗黙の約束事、下流への配慮が根づいています。水の路の最下流が琵琶湖であることを、人々はよく知っているのです。