徳島県

07.実りの季節、犬飼農村舞台での人形浄瑠璃公演

自然と融合する犬養農村舞台

Vol.32

Ep.07

徳島県内には全国一の現存数を誇る阿波農村舞台があります。農村舞台が建設され始めたのは幕末期のこと。村の鎮守の神社では豊作祈願や感謝の祭りが行われ、農民は供え物や歌、踊りなどを奉納していました。この奉納芸が盆踊りから人形芝居に移行し、やがて農民たちが自ら人形操りを稽古する練習場所として、神社の境内に農村舞台を建設するようになります。

犬飼農村舞台は明治6年に建立されたもので、かつてのカラクリ機構が最も原形に近い状態で残された貴重なものとして、国の重要有形民俗文化財にも指定。カラクリを使って132枚のふすま絵を操り、42景の舞台背景を展開する仕掛けで、舞台中央奥には奥千畳のための建物が付設されており、遠近法による千畳敷の背景を作り出すことができます。カラクリ機構の下には舟底楽屋があり、空間を有効利用するために地面を掘って設けたこの舟底楽屋は、徳島では唯一ここだけのものです。