山形県

06.黒川能について③(当屋遣い、王祇おろし、座狩、ふるまいなど)

布つけされた下座の王祇様

Vol.16

Ep.06

黒川地区の鎮守・春日神社の年4回の例祭に、神事として奉納される黒川能。中でも真冬のさなか旧正月に行われる王祇祭(おうぎさい)は最も重要な祭りです。年が明けた1月3日、上・下の両座でそれぞれ「興行」と呼ばれる座員の総会から始まり、4日以降役者衆はほぼ毎夜稽古に励みます。17日に行われる「十七夜祭」で当屋を国司として任命し、29日の「降神祭」で神事を行った後、30日の「酒くらべ」(酒の味比べ)、31日の「当屋遣い」(当屋に奉納した氏子宅にふるまい案内の口上をのべに行く)と続きます。

そしていよいよ2月1日の午前3時、当屋から春日神社の神霊が宿る王祇様をいただきに上がる「宮上り」。午前6時には神殿から王祇様を出す「王祇おろし」が行われます。午前7時には上座、下座それぞれの当屋で王祇様の布着せがあり、座衆が一堂に会して座狩(ざがり)という総点呼の後ふるまいが行われ、夕刻から子どもが務める「大地踏」(だいちふみ)によって黒川能が始まります。