山形県

08.黒川能について⑤(朝尋常、棚上がり尋常、布剥ぎ尋常、道具の渡しなど)

神社での上演

Vol.16

Ep.08

王祇祭初日の夜、中入(休憩)に合わせて下座から上座へ「暁の遣い」が出され、両座で狂言→能→狂言→能→狂言→能→狂言→祝言能が行われます。そして2日の午前6時、下座の王祇(おうぎ)様が当屋を出発。榊屋敷に入って上座の「七度半の遣い」を受けます。上座の王祇様も当屋を出発して「七度半の遣い」を送り、遊の庭で待機。午前8時に両座そろって宮上りをし、「朝尋常」と呼ばれる競争事をします。その後、上座・下座で脇能が行われ、両座立合による大地踏と所仏則(ところぶっそく)の翁、三番叟(さんばそう)が演じられます。さらに午後2時に棚上がり尋常、餅切り尋常、布剥ぎ尋常が行われ、午後4時過ぎに来年の当屋(受当屋)を祝い、王祇祭は終了となります。

ご神体の衣布は翌年の当屋に授けられ、また1年かけて準備へ。王祇祭と黒川能は互いに命を与えあい支えあって成立するものとされ、黒川の人々は今なお黒川能を中心とした生活を送っています。祭りと能が一体となった暮らしがここでは脈々と営まれているのです。