山口県

01.日本海に浮かぶ見島と天然記念物の見島牛

国の天然記念物「見島牛」

Vol.17

Ep.01

山口県の最北端、萩市の沖合約45㎞にある小さな離島、見島(みしま)。萩市には7つの島があり、見島はそれらの中で最も本州から遠い位置にあります。古くから大陸との交易で栄え、朝鮮の歴史書『海東諸国紀』『李朝実録』には、見島の豪族だった藤原貞成が貿易を行っていたとの記述も。

また、見島は国の天然記念物である見島牛(みしまうし)の産地としても知られています。見島牛は和牛の原型といわれる牛で、室町時代に朝鮮半島から渡来したままの姿を残す希少種。西洋種の影響を受けていない日本の在来牛は、この見島牛と鹿児島県トカラ列島北端に位置する口之島に生息する口之島牛(くちのしまうし)の2種のみです。

見島牛は1928年に国の天然記念物に指定され、第二次世界大戦後までは農耕牛として600頭ほど飼育されていたものの、農業の機械化とともに30頭前後まで減少。現在は見島牛保存会などが中心となって育成に取り組んでいます。その肉質は霜降りでとてもおいしいと注目されていますが、天然記念物でもあるため、市場に出回るのは年2~3頭ともいわれる希少な牛です。