愛知県

01.岡崎市の八丁味噌、石積職人の伝統技法

愛知県の名物、八丁味噌

Vol.25

Ep.01

岡崎城から西へ八丁(約870m)の距離にある岡崎市八帖町(旧・八丁村)で、江戸時代初期から続く伝統製法によって造られる豆みそ、それが八丁味噌です。原料は大豆と塩のみ。大きな杉桶に仕込んで天然の川石を積み上げ、天然醸造で二夏二冬(ふたなつふたふゆ)熟成させます。大豆の旨味が凝縮した濃厚なコクと、少々の酸味、渋味、苦味が特徴の奥深い味わい。この地は旧東海道と矢作川が交わる水陸交通の要所で大豆や塩が入手しやすく、良質な伏流水にも恵まれていたため、八丁味噌造りに適していました。川が入り組んだ湿気の多い地域のため、水分を減らして保存性を高めた結果、八丁味噌特有の味や香りが生まれたと考えられます。熟成の際、職人の手によって丁寧に積み上げられる重石は、仕込量6tに対し約3t。この圧力が木桶全体に均等に加わるよう、かつ地震があっても崩れないほどしっかり積めるようになるには、少なくとも10年の経験が必要といわれます。