愛知県

04.夜を照らす田原市の電照菊

菊に人口光で光を当てて開花を遅らせる

Vol.25

Ep.04

花は愛知県の主要農産物の一つ。中でも生産量が多いのは電照菊(でんしょうぎく)を主とした菊です。渥美半島に位置する田原市では、全国に流通する菊の1/4を生産。この地域では約200年前から菊が作られていましたが、日照時間を操作することで開花時期を早めたり遅らせたりする技術が試みられたのは1930年代。渥美半島の付け根に位置する渥美郡牟呂(むろ)吉田村(現・豊橋市)で、屋台などに用いられていたアセチレンガスのランプを使用したのが始まりでした。電気を使用した電照菊栽培が始まったのは戦後。渥美郡伊良湖岬(いらごみさき)村(現・田原市)の生産者によって実用化され、本格化したといわれます。この電照菊のおかげで全国的に広まったのが、葬祭用の白菊。それまでは葬儀に白い菊を飾りたくても、時季によっては咲いていないこともあるため、容易には実現しませんでした。しかし電照菊によって開花時期が調整できるようになったことで、いつでも白い菊が入手できるようになったのです。