広島県

02.貴重な大衆娯楽、中国山地の安芸高田神楽

吉和神楽競演会の様子1

Vol.07

Ep.02

神社の祭礼を中心に、自然や神に対する感謝の舞いとして各地に伝わる伝統芸能の神楽。失われつつある民俗文化として、あるいは祭礼のための特別な儀式として、地元の人たちが懸命に保存、継承しているものが多い中、江の川流域で生まれ、広島県北地域とその周辺で受け継がれている安芸高田(あきたかた)神楽は、少々異なります。伝統芸能という枠組みをきちんと維持しながらも、今なお進化し人々を魅了し続ける大衆娯楽として、生活の中にしっかりと根づき、生き続けているのです。

集落ごとに安芸高田神楽団が結成され、団員は毎週のように練習に励み、定期公演や競演大会では互いに激しく技術を競い合います。ナンバーワンの神楽団にはいわゆる「追っかけ」もいるほどで、その公演には県内外からファンが詰めかけ、チケットがなかなか取れないことも。集落ごとに代々伝えられてきた衣装や脚本、歌舞音曲が、人々の間で今なお受け継がれているのが安芸高田神楽の特徴です。