広島県
07.山あいの村々で珍重された郷土の味「ワニ料理」
Vol.07
Ep.07
三次(みよし)市や庄原市などの備北地方で食べられるワニ料理。といっても爬虫類のワニではなく、サメ(フカ)のことです。山間部に位置するこの地域は、かつて冷蔵手段に乏しかった時代、近隣の漁港で水揚げされる魚すら入手困難でした。
一方サメは、体内にアンモニア分が溜まっていて保存が効きます。通常の魚では3日程度しかもたないのに対し、サメは2週間以上も保存できることから、備北地方で重宝されるようになりました。
現在はもちろん冷蔵技術も輸送工程も発達していますが、この地域の人々は今でも親しんでおり、「ワニ料理がないと祭りも正月も来ない」と言われるほど。年始や祭事などのごちそうとして振る舞われるほか、酒の肴としても人気があるそうです。
ワニ料理は刺身が一般的ですが、作中でも紹介しているように、ワニの漬菜巻き、揚げワニ、みぞれ和え、ワニの炊きこみご飯など、趣向を凝らした様々なワニ料理のレシピも生まれています。