岩手県

01.胆沢平野の散居集落と徳水園の円筒分水

徳水園の円筒分水1

Vol.05

Ep.01

散居集落とは、家々の間に広大な田畑が広がる集落のこと。おもに平地の農村地域で見られる景観で、かつて日本に稲作が広く普及した時代のなごりともいわれます。

岩手県胆沢(いさわ)平野の散居集落は、富山県砺波(となみ)市の砺波平野、島根県斐川町の出雲平野と並ぶ、日本三大散居集落の一つに数えられ、胆沢川と衣川に挟まれた扇状地に形成されています。

水利のよい場所に住居を造り、その周囲に水田を築いていったこの地方の歴史がうかがえる景観です。そして胆沢平野のもう一つのシンボルが、円筒分水。「胆沢平野小唄」という唄には、「想いは一筋、流れは八筋」という一節があります。まさに「八筋の流れに一筋の想い」を寄せて、胆沢平野の農業用水を公平に配分するために造られた分水施設が、この円筒分水です。農業用施設のものとしては日本一の規模を誇り、周辺は公園として整備され、この円筒分水を含む一帯は、徳水園(とくすいえん)と名づけられました。