三重県

05.桑名市の多度祭、上げ馬神事に挑戦する若者

参道を目指して駆ける馬

Vol.23

Ep.05

多度大社の御例祭・多度祭で行われる「上げ馬神事」は南北朝時代の暦応年間(1338~1341年)に始まったとされますが、元亀2年(1571年)織田信長の兵火により社記が散逸し、その起源は定かではありません。一時中断したものの、1601年に本多忠勝が桑名城主に着任して再興。以来今日まで継承されています。御厨は7地区からなり、神児1名、騎手6名が選出されます。騎手が選出された地区が「上げ馬」を行いますが、その順番は毎年交代で、特に最初に行う地区を「花馬」といいます。

上げ馬神事では農作の時期や豊凶が占われ、馬が数多く上がれば豊作、少なければ凶作。また、最初の方の馬が上がれば「早稲(わせ)」、中頃で上がれば「中手(なかて)」、最後の方なら「晩稲(おくて)」の苗を選ぶのがよいとされました。近年では上がり具合によって景気の良しあしも占われます。現在の上げ馬神事は、寛政6年(1794年)の大祭御神事規式簿に記されている形とほぼ変わらない姿で受け継がれており、三重県無形民俗文化財にも指定されています。