宮城県
02大崎耕土と『ササニシキ』の後継
Vol.41
Ep.2
県北西部に位置する大崎市。江合川、鳴瀬川の流域に広がる野谷地や湿地を利用した水田農業地帯は「大崎耕土」と呼ばれ、県内でも有数の米どころとして知られます。冷害や洪水に対応するための水管理システムを中心に、生き物との共生や食農文化の醸成、景観づくりなどが一体となった取り組みが評価され、世界農業遺産に認定されました。その一部である人工河川の「内川」は、伊達政宗が岩出山に居城したときにつくったもので、現在も用水路として機能しています。
大崎生まれの『ササニシキ』は収量の多い米として育種され、1963年から栽培が始まりました。「西のコシヒカリ、東のササニシキ」と一世を風靡し、粘り気が少ないさっぱりとした食味で人気を二分。寒さに弱く、度重なる冷害で生産量が減っていましたが、『ササニシキ』を母、『ひとめぼれ』を父に、『ササニシキ』の食味を受け継ぐ新品種『東北194号』が誕生します。2015年から栽培が始まり、県内各地で「ささ結」「いくよちゃん」「ささゆた香」などの愛称で産地づくりが進んでいます。「ささ結」は大崎市の登録商標。同市はササニシキ系の米の食味と品質を審査する「『ささ王』決定戦」を毎年開催し、PRと品質向上に力を入れています。