奈良県
02.五條市西吉野の富有柿と生産者一家
Vol.33
Ep.02
吉野川が流れる五條市は、伊勢・大和・紀伊を結ぶ街道が交差しており、古くから交通の要衝、伊勢街道の宿駅として栄えました。榮山寺の国宝・八角堂や梵鐘、維新の魁となった天誅組ゆかりの史跡、重要伝統的建造物群保存地区に登録されている五條新町など、名所旧跡が数多く残ります。そんな五條市の西吉野町で、秋から冬にかけて最盛期を迎え、全国に向けて1日200tも出荷されるのが柿です。奈良県の柿は、標高100~400m、年間平均気温14~15℃という柿栽培に適した中山間地域を中心に栽培されており、長い歴史と最先端の技術に支えられ、多くの若い農業者が意欲的に取り組んでいます。五條の柿の品種は刀根早生(とねわせ)、平核無(ひらたねなし)、そして富有柿など。1600年代に奈良県御所市(ごせし)で生まれ、「羊羹のように甘い」と評判を呼び幕府や宮中に献上された「御所柿(ごしょがき)」という品種がありますが、富有柿は江戸時代末期にこの御所柿を接ぎ木して育成されたもので、上品な甘さが特徴です。