大分県
07.日田市の林間わさびと冬の味覚・花わさび
Vol.28
Ep.07
九州一のわさび産地・日田市津江地区は、清らかな水と冷涼な気候が良質なわさびを育む土地。杉やヒノキを間伐した林間わさび、山奥の清流の地形を利用する沢わさび、そしてハウスわさびが栽培されています。
古くは飛鳥時代より日本の渓流沿いに自生していたわさび。慶長年間(1500年代後半~1600年代)に、現在の静岡県の村人によって栽培技術が確立されたといわれています。それを駿府城の徳川家康に献上したところ、天下の珍味と称賛を受けたとか。わさびの葉が徳川家の葵の御紋に似ていたこともあり、「山葵」の文字をあてて領外に出すことを禁じ、わさびを門外不出としたそうです。日田は江戸時代の天領、つまり幕府の直轄地でした。その気候風土は駿府とよく似ており、幕府から派遣された代官が許可を得て現在の津江地区に栽培を推奨したのが、日田わさびの起源といわれています。昭和56(1981)年からは葉わさび、花わさびの生産もスタートし、九州の代表的な産地となりました。