沖縄県
05.沖縄の宝「沖縄アグー豚」
Vol.38
Ep.5
約600年前に中国から導入されて琉球の食文化を支えてきた島豚を起源にもつアグー。小型で発育が遅いため飼育が難しく、戦後は大型で発育の早い西洋種が大量に入ってきたため激減、交雑化も進みました。一時は絶滅しかけたものの、1981年の全県調査で約30頭が確認され、10年かけて雑種化を取り除く「戻し交配」が行われました。さらに遺伝子調査による選抜を行い、2011年に「沖縄アグー豚証明規程」が設定されたことで、戦前に近い形質を備えた「沖縄アグー豚」が誕生。片仮名の「アグー」は原種のアグーの血を50%以上有するもので、平仮名の「あぐー」は原種のアグーの血を50%以上有する豚と他品種をかけ合わせたものです。交配パターンはブランドごとに異なり、生産者はアグーの優れた肉質を生かしながら肉量の多い豚を生産できるよう工夫しています。作中登場する喜納農場は40年以上かけて研究した独自の配合飼料や飼育方法で、『喜納農場のあぐー』というブランド豚を飼育する養豚場。現在は3代目の喜納忍さんが受け継ぎ、日々研究と飼育に励んでいます。そんな忍さんに訪れた人生最大の危機、それは2020年1月に発生した豚コレラ(豚熱)による全3012頭の殺処分でした。