佐賀県

02.潮塞観音祭りと子ども浮立

九州北部に伝わる民俗芸能「浮立」

Vol.24

Ep.02

潮塞(しおどめ)観音は「台風の被害を少なくしたい」との願いが込められた観音様。明治時代に勧請された千手観音で、当時はもっと海側にありました。しかし大正3年の台風で高潮が町を襲い、観音像が流出。かろうじて町はのみ込まれず大きな被害を免れた後日、高潮が止まった位置から観音像が掘り出されました。以来「潮を塞いでくれた観音様」ということで、その場所に現在の潮塞観音堂が建立されたそう。

潮塞観音祭りで子どもたちが演じる浮立(ふりゅう)は、県内各地に伝わる民俗芸能です。そのルーツは室町時代に流行した風流踊(ふりゅうおどり)といわれ、五穀豊穣などを祈願するものですが、太鼓や鉦の響きが雷鳴に似ていることから、農村部では雨乞いの意味も。武雄市の「袴野面浮立(はかまのめんぶりゅう)」や有田町の喧嘩浮立「ドテマカショ」なども江戸時代の干ばつを機に行われるようになったといわれます。地域の歴史と人々の思いは、潮塞観音祭りと浮立によって子どもたちにも受け継がれています。