島根県

01.『古事記』に描かれた神話の神々と出雲大社の歴史

稲佐の浜の出雲神楽 「国譲り」の演目

Vol.13

Ep.01

出雲大社に祀られている大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)は、日本を造ったとされる神様です。代表的な神話の一つ「国譲り」は、太陽の女神アマテラスがオオクニヌシの築いた葦原中国(あしはらのなかつくに)を譲ってもらうために、様々な神を遣わせて説得し、最終的に献上された、というお話。『古事記』や『日本書紀』では、天孫が地上に降りた後に、九州の日向(ひむか)の国・高千穂から神武天皇が大和へ攻め上り、ヤマトタケルらによって日本の国は平定。天皇の統治する大和政権につながった――これがいわゆる日本建国の物語です。

しかしこれは、明治から第二次世界大戦前にかけて体制擁護のため思想教育に組み入れられたもので、「国譲り」に関しても、出雲を武力で攻略したことを強調したくない新興勢力の大和政権側が、いかにも話し合いで解決したように装ったもの、という説があります。古代歴史書は、時の権力者が自らのルーツや実績を誇るために作り上げたものだといわれていますから、それもあり得ない話ではないでしょう。出雲大社の歴史は今なお多くの謎を秘めています。