栃木県

02.日光名物のゆばと老舗のふじや

日光東照宮 春の例大祭でお供えされる揚げ巻きゆば

Vol.19

Ep.02

奈良・平安時代、仏教の広がりとともに京都から日光に伝わったゆば。当時日光には800もの僧坊があり、1万数千人の僧侶が居住していました。その僧の精進食として、ゆばが盛んに作られたそうです。大豆から作る精進食のゆばは、元々中国の僧が考案したもの。日本の留学僧がその技術を学んで帰り、仏教とともに京から日光に伝わったといわれます。

日光のゆばは千年以上の長い歴史をもつ伝統食。東照宮の春と秋の例大祭のお供えのお膳にも使われるなど、神社とも関わりが深い料理です。

日光ゆばは揚げ巻きのゆばで、ゆばのすくい上げ方に特徴があります。細い串を薄皮の中央に入れてすくい上げると、串の両側に垂れ下がったゆばがくっついて一枚になります。一方、京都では皮の端をつまんで上げるので重なりません。そのため日光ゆばは京都ゆばの倍の厚さに。日光ゆばの老舗として知られる「ふじや」は明治時代にゆばを取り扱うようになって120年余、店そのものは250年以上の歴史があります。