栃木県

05.鶏頂山の開拓地で作られるほうれん草

収穫されたほうれん草

Vol.19

Ep.05

日本三百名山の一つに数えられる日光市の鶏頂山(けいちょうざん)。その名は金鶏伝説(黄金の鶏にまつわる伝承)に由来するといわれ、かつてこの地に金の鶏が飛来し、山で休養したため鶏岳と呼ばれるようになり、やがて金鶏山(きんけいざん)、鶏頂山と呼ばれるようになったとか。山の形が鶏のトサカのように見えることから鶏頂山、との説もあります。

太平洋戦争終結後、この地には満州からの引揚者などが多数入植し、開拓が進められました(鶏頂開拓)。かつては牛の放牧やイチゴの育苗などが行われていましたが、現在は大根やほうれん草などの高原野菜が栽培されています。とりわけ6月上旬から収穫が始まる高冷地ほうれん草は、昼夜の寒暖差がある場所で作られるため品質が良く、甘みも強いと評判です。

県内には栃木県開拓農業協同組合が組織されており、かつて電気も水道も道路もないような山林原野に裸一貫で挑んだ開拓者たちの魂を受け継いで、現在も畜産や野菜生産に取り組んでいます。