千葉県
05.落花生の野積み「ボッチ」。落花生を使った郷土料理
Vol.08
Ep.05
江戸時代に中国から伝わったとされる落花生。本格的に栽培されるようになったのは明治以降で、千葉県では明治9年から干拓地の農業振興策として栽培が奨励されていきました。
田に適した印旛沼や河川の周辺を除くと、やせた砂地や水利が悪く干ばつに弱い台地の多い千葉県は、それまで決して農業に適した地勢とはいえませんでした。そのため、不適作地でも栽培できる作物が求められたのです。
当初アメリカからきた落花生の品種は、次第に千葉の風土に適した食味のよいものへと改良されていきました。なかでも「千葉半立(はんだち)」は濃厚な味わい、芳醇な香り、上品な甘さなどから落花生の王様とも称される最高級品種です。その名の由来は、それまでの落花生が地面を這っていたものを、栽培しやすくするために半分立たせたことに由来します。
収穫の時期、畑には1.5mほどの落花生の株の束「ボッチ」が並びます。収穫した落花生を乾燥させるために円筒状に積み上げたもので、上にのせるわらの形が、時代劇などで浪人がかぶるボッチ笠に似ていることからそう名付けられたのだとか。落花生産地の秋の風物詩です。