岩手県
02.エグネとキヅマ、長屋門
Vol.05
Ep.02
胆沢(いさわ)の散居集落の特徴ともいえる「エグネ」と「キヅマ」。エグネとは冬の季節風から家屋を守る防風林のことで、屋敷の境界としての役割もあります。
用材はかつて家屋を改修する木材として植えられたスギやクリ、キリなどで、落ち葉は燃料や肥料に活用されました。名前の由来は、屋敷(居)の地境(久根)に植えられている林であることから「居久根=イグネ」が訛って「エグネ」になったとか。1994年には「美しい日本のむら景観コンテスト」で農林水産大臣賞を受賞しました。
一方のキヅマはエグネの下に薪を重ねたもので、エグネの下枝が欠けた部分を補うことで風雪を防ぐ役割を果たします。「キヅマが崩れると、家運が衰退する」などといわれ、今も大切に受け継がれています。
「長屋門」は、江戸時代、郷村武士の家格を持つ家に多く、明治時代以降は豪農の屋敷などに設置されるようになったもの。長屋にはその家に仕えている者が住む部屋や物置、作業場などがあり、岩手県内では旧仙台藩領に多く見られます。