岩手県
04.於呂閇志胆沢川神社、春の例大祭、豊作祈願の雪椿
Vol.05
Ep.04
於呂閇志胆沢川(おろへしいさわがわ)神社の春の例大祭では、雪椿の枝に神符をそえたものが参詣者に授けられ、農家はその雪椿と神符を田の水口にさして豊作を祈願します。山は聖地であり、神はそこから里に下り、再び山に帰っていく――胆沢平野の人々はそう考えてきました。
於呂閇志胆沢川神社の旧社は奥の宮と呼ばれ、年越しの日には稲束を本社に運びあげて五穀の豊作を祈願。そして春、里に下りてくる神を迎えるため、人々は於呂閇志胆沢川神社の西方にある猿岩から雪椿の小枝を青竹に挟み、苗代の水口にさしこんで水神としました。
秋には玄米を神前に供え、籾殻を焼いて翌年の豊作を祈り、そうして神は山に帰ります。その祈りは五殻豊穣だけでなく、作物の虫よけ、雨乞い、雨晴らしから馬の守りにいたるまで様々でした。
於呂閇志胆沢川神社は猿岩を「作神(さくがみ)」として祀っており、この猿岩付近の地名が颪江(おろしえ)だったことから、於呂閇志に変化したとされます。