長野県
03.下條村の伝統野菜、親田辛味大根
Vol.15
Ep.03
下條村の親田(おやだ)地区で作られている伝統野菜の親田辛味大根。一般的な青首大根に比べ、辛味成分のイソチオシアネートは4倍近く、ビタミンCも2~3倍含まれています。緻密な肉質で水分含有率が低く貯蔵性に富みます。もっぱらおろし専用の大根として食され、薬味として蕎麦や焼き魚、餅、焼肉、天ぷらなどに使われます。なかでも蕎麦との相性は抜群です。
親田辛味大根の味はただ辛いだけでなく、大根特有の甘味を残しているのが特徴。地元では「あまからぴん」と表されます。その起源は不明ですが、江戸時代の正徳年間(1713年頃)には尾張徳川家に献上されたという記録も。親田辛味大根は直径6~9cm、重量200~250gのものが良質とされ、白色と赤色のものがありますが、白は「ごくらくがらみ」、赤は「とやねがらみ」として品種登録されています。地域の気候風土に適応しすぎているためか、親田地区以外の場所で作ってもこの風味と形状はできないという、不思議な地大根です。