島根県

02.斐伊川の河川敷に広がる出雲平野の散居集落

出雲平野

Vol.13

Ep.02

出雲平野を形成した斐伊川(ひいかわ)は、「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」にも例えられる暴れ川。すぐに氾濫して洪水を起こすだけでなく、頻繁に川筋を変えるため、神話で語られる時代から、この地に生きる人々にとって大きな問題でした。

古くは奈良時代に、そして今なお治水工事が行われています。江戸時代初期に行われた大工事では、中国山地から日本海に向かって西側に流れ込んでいた斐伊川を、東にある宍道湖(しんじこ)に流れ込むよう途中で180度方向転換させました。この一大工事によってようやく川筋が安定した斐伊川では、それまで川の氾濫原だった周囲の湿地帯に多くの新田が作れるようになり、現在の散居集落が並ぶ美しい景観ができあがっていきました。

出雲神話のヤマタノオロチの物語が、斐伊川の氾濫を暗喩しているとすれば、この暴れる大蛇を退治したのはスサノオではなく、江戸時代の人々だったといえるかもしれません。