静岡県

03.大江八幡宮の御船神事

大江八幡宮の御船神事

Vol.12

Ep.03

海上安全を祈り、牧之原市内4ヶ所の神社で毎年秋に行われる御船神事(おふねしんじ)。若者たちが千石船の模型を担ぎ、御船歌にあわせて街中を練り歩いて船首と船尾を交互に持ち上げ、荒波を航海する様子を威勢よく表します。大江八幡宮の御船神事は国指定無形民俗文化財に、飯津佐和乃(はづさわの)神社の御船神事は県指定無形民俗文化財に指定されています。

江戸から明治の初めまで、日本の物流は船による海上輸送が主でした。御船神事に参加する船は、他の地域の神輿や船行事に見られるような華美な装飾を施したものではなく、樽廻船と菱垣廻船のリアルな模型。これを実際の航海の様子を再現するように帆柱を起こし、帆を張り、出帆し、そして荒海を乗り越えるように大きく揺さぶりながら、ご神体を先導していきます。これは実際の船と船を操縦する技術を陸上の神に見てもらい、守ってもらうための奉納。当時勃興した海運産業と操船の技術を、陸神に見守ってもらう儀式ともいわれます。