静岡県

06.伝統の技、静岡県茶手揉保存会による手揉みのお茶

手揉み茶作り「揉む」

Vol.12

Ep.06

お湯をいれた際、茶葉をなるべく摘んだ時の美しい状態に戻したい。そのためには葉が美しく広がり、きれいな緑色を保たなければ――。日本人は、お茶においしさだけでなく、こうした美的感覚を求めました。

それには茶の緑を発色させるクロロフィルという成分を壊さずに保つことが重要です。クロロフィルは熱に弱く、高温では組織が壊れ、葉が変色してしまいます。といって低温すぎると青臭さが残ってしまう。その適温が35度前後、人肌の温度でした。そこで、人の手によってゆっくり揉みながら水分を抜く「手揉み」の技が編み出されます。

現在ではコンピューターがきめ細かく温度管理をするため、機械でも手揉みのような乾燥状態を実現できるようになりました。しかし、名人といわれる人たちの手技は、その時々の温度や湿度、茶葉のコンディションによって手揉みの加減を微妙に変えており、より奥深く風味と味わいに満ちた茶のおいしさを引き出します。