栃木県
07.イチゴの山上げ栽培
Vol.19
Ep.07
中禅寺湖の北に位置する戦場ヶ原は、男体山の噴火でできた山麓平原にある湿原。奥日光の観光地として夏には多くの人が訪れる場所ですが、第二次世界大戦後に農地として開拓されたイチゴの山上げ栽培地でもあります。
山上げ栽培とは、平地の温暖な場所で出芽したイチゴの苗を、一定期間冷涼な高地に移植した後、再度平地に戻すことで苗の早生を刺激するもの。本来イチゴは初夏の果物で、出荷時期は5月頃でした。
しかし早生種のイチゴを戦場ヶ原に山上げすることでクリスマスシーズンに出荷することが可能となり、日光のイチゴは全国で重宝されるように。つまり日本一を誇る栃木のイチゴは、山上げ栽培の成功があったからこそともいえます。
標高が低くては効果が少なく、高すぎると平地に戻した時の温度差が大きすぎて苗が傷むなど、大変な労力を要する山上げ栽培。現在は夜冷育苗やポット育苗といった技術が開発されたことで、山上げ栽培に取り組む農家の数は減っています。