東京都

03.よみがえる江戸の味「東京しゃも」

東京しゃものひな

Vol.36

Ep.3

「軍鶏」の文字通り勇壮な姿のしゃもは闘鶏にも用いられ、その引き締まったしゃも肉を鍋で食すのは江戸っ子ならではの心意気。「鬼平」の異名で知られる火付盗賊改方・長谷川平蔵宣以(のぶため)もしゃもの鍋を好んだといわれます。

昭和40年代以降、日本の鶏肉市場をブロイラーが席巻しますが、その味は淡白でどんな料理法にも合う一方、鶏本来のコクを失い、伝統的な味を表現できないという声も。そこで、旧東京都畜産試験場(現在の東京都農林総合研究センター)が中心となって研究を重ね1984年に誕生したのが、かつてのしゃも肉をモチーフにした「東京しゃも」です。

東京しゃもの肉は加熱するとぷくっと膨らんで旨味を閉じ込め、加熱時の肉汁の流出が少なく、噛んだときに口中でサクッと噛み切れる歯触りの良さが特長。東京しゃもの開発には都内の料理人や店主なども協力を惜しまず、とりわけ「玉ひで」七代目・山田耕路氏は熱心にアドバイスしたそうです。その情熱は現在の八代目・山田耕之亮氏にも受け継がれています。

ちなみに同店の親子丼は、東京しゃもの柔らかい胸肉と歯ごたえのあるもも肉が使われています。