愛媛県

02.JAのフェリー「第八くしま」と九島の一日

第八くしま

Vol.11

Ep.02

宇和島市の沖合約3kmの位置にある九島(くしま)は、人口約900人、面積3.35㎢の小さな島。2016年に完成した九島大橋によって、現在は市内から直線距離約4kmで往来できますが、それまでは宇和島港から約20分のフェリー航路が唯一の交通手段でした。船の名は「第八くしま」。JAえひめ南の前身である旧九島農協が1951年に民間会社から事業譲渡を受けて運航していた全国でも珍しいJAの船です。

九島大橋の開通によって65年にも及んだ役目を終えましたが、当時のJA組合長は「赤字続きで大変だったが、『第八くしま』は島の生活にとって大事な航路だった。協同組合としてやめるわけにはいかない、橋が架かるまでは何とか維持しなければとがんばってきた」と振り返ります。お別れ会で第八くしまのエンジンルームを案内してもらったJA役員は、「規則的なエンジン音を聞いていると、長い間律儀に働いてくれた船に涙が出た。利用者に愛され信頼されたフェリーは、まさに農協を象徴する事業だった」と語っていました。