愛媛県

06.西予市宇和町永長「魔除けの大草履」

西予市宇和町永長(ながおさ)の大草履

Vol.11

Ep.06

大草履などを村や集落の境目に置く風習は、「道切り」「辻切り」などと呼ばれ、日本各地に古くから残るしきたりの一つ。かつて村の境界地点は、災いや疫病をもたらすものが入り込んでくる場所と考えられていました。こうした「魔」「もののけ」の侵入を防ぐために、大草履やしめ縄を備えつけたり、道祖神(どうそじん)を置いたりする習俗が起こり、今でも全国に広く残っています。

愛媛県北部では「サエノカミ(塞の神)」と呼ばれる石仏や石のご神体を集落の境や山の峠の祠(ほこら)などに祀る風習があり、宇和島周辺では「オニノコンゴウ(鬼の金剛)」と呼ばれる行事(1月16日頃寺などに集まり、その年最初の念仏を唱える「念仏はじめ」で家内安全や五穀豊穣を祈るもの)が催されます。その際、「金剛草履」と呼ばれる大草履をわらやイグサで作り、村の境となっている道や橋のたもとに置いたり吊るしたりするしきたりがあります。本作で紹介している大草履もその一種です。