熊本県

02.八代海の干拓。イグサの歴史

八代海の干潟

Vol.10

Ep.02

干拓とは水面を堤防で囲って排水し、海底の肥沃な土地を農地などに利用すること。熊本県は全国的に見ても干拓が盛んで、県内の水田総面積の約30%が干拓地に相当します。八代沿岸は日本三大急流の一つでもある球磨川(くまがわ)と、氷川(ひかわ)、砂川などの河川が八代海に注ぐため、その砂流によって肥沃な三角州が形成され、地形的、自然的にも干拓適地が発達してきました。

この干拓事業に大きな動きをもたらしたのが、土木家としても有名な武将、加藤清正です。その後、藩主が細川氏に代わってからも薩摩藩・島津氏に対する前衛基地として、また藩の財政ひっ迫の救済策として大規模な新田開拓が進められました。さらに明治30年代の大工事では、人夫頭の「だいばどん」とお菊の恋物語、干拓民謡を生んだ石組み堤防樋門(ひもん)の「おざや樋門」など、様々な文化や風習も生まれます。現在は日本一のイグサ産地としても知られる一大干拓地です。