愛媛県
05.遊子水荷浦の段畑とジャガイモの植え付け
Vol.11
Ep.05
かつて宇和島地域の海岸や島々を覆うように存在した段々畑ですが、現在は遊子水荷浦(ゆすみずがうら)のような特徴的な景観はほとんど残っていません。この地域の段々畑にはその昔、救荒作物としてサツマイモが植えられていましたが、昭和30年代にサツマイモの価格が大暴落。そこで、栽培されたのがジャガイモです。しかし、時とともにジャガイモも生産過剰となり、みかん栽培に挑戦したりと、時代に合わせて試行錯誤が繰り返されてきました。
やがて昭和30年代後半には、入り組んだ湾の地形を利用したハマチや鯛、真珠などの養殖漁業が盛んになります。この地域では半農半漁の生活が営まれてきましたが、「農」の割合が縮小され、人々の暮らしぶりは大きく変化。また、ネズミの大量発生による被害などもあって、高度経済成長期を迎える頃には段々畑もその数を大きく減らしていきました。
しかし、今でもここ遊子水荷浦の段畑では、この歴史や景色を次世代につなげる取り組みが行われており、ジャガイモの苗の青葉が茂った、美しい景色を眺めることができます。