熊本県
03.イグサ農家の春。イグサの先刈りと網張り
Vol.10
Ep.03
多年草のイグサは、苗を育てて株分けし、増やした苗をまた育て、1年半かけて収穫します。 春先に行われる主な作業は、先刈りと網張り。先刈りは、一旦成長したイグサの新芽を刈り取ることで、その後に出てくる新しい芽の成長を促進させます。育ったイグサは穂先にいくほど栄養が行き渡らなくなるので、先刈りをしないと強くて上質なイグサができないのです。
網張りはイグサが横に倒れないための倒伏防止作業。より細く、より長いものが高品質とされるイグサは、よいものほど倒れやすくなります。これを防ぐためにも欠かせないのが網張りです。これらを4~6月にかけて行い、7月頃に刈り取り。実に最初の苗の植え付けから1年半という長い時間を経て、ようやく収穫されるのです。
しかし、イ草農家の仕事はここで終わりではありません。工芸農産品ともいわれるイグサを、このあと下処理し、畳表として製織するまでが農家の重要な仕事です。